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野鳥図鑑や鳥に関する本のかなり自由な書評です。気晴らしにどうぞ。本の表紙をクリックするとamazon.comのページにジャンプします。愛知県支部の事務所に蔵書があるものもあり、愛知県支部会員であれば貸出し可能です。借りたい人はまず愛知県支部に問い合わせしてあるかどうかを確認してから支部事務所に来てください。

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『鳴き声から調べる野鳥図鑑』
松田道生 文・音声、菅原貴徳 写真
文一総合出版 2017/4/20

音声データCD付きの野鳥の声の図鑑。さえずり、地鳴き、その他変わった声などを収録し解説している。普通の野鳥識別図鑑とは一線を画すユニークな図鑑だ。使われている写真は菅原貴徳さんの手によるものでどれもすばらしい。イラストレーターの冨士鷹なすびさんのかわいいイラストも楽しめる。記載数は85種。見る機会の多い野鳥に絞って鳴き声を詳細に解説している。ハシボソガラスがワンワンと犬のような声でなくのにはびっくりした。この本とCDの中にはいろいろな発見がありすごく面白い。

(愛知県支部に蔵書あり)

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『鳥のフィールドサイン観察ガイド』
箕輪 義隆
文一総合出版 2016/11/12  

鳥は地上に様々な痕跡を残す。この本はそんな鳥たちが残していった痕跡「フィールドサイン」を網羅した非常にユニークな本だ。足跡、糞、ペリット、羽毛、食痕などの特徴からどんな種類の野鳥が残していったものかを解説している。糞だけで16ページを費やし約80種の糞の写真付き説明があるのには恐れ入った。野鳥を観察するだけでなく地上も観察しながらのバードウォッチングが楽しめそうだ。探鳥会の案内人にとっても新たな見識が身に付き、いっそう楽しい探鳥会を提供できるだろう。

(愛知県支部に蔵書あり)

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『色えんぴつでかわいい鳥たち』
秋草愛
バイインターナショナル 2015/5/25 

色えんぴつを使って描いた鳥の本。

(愛知県支部に蔵書あり)

       

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『山渓カラー図鑑 日本の野鳥』
山と渓谷社 第2版1994年 高野伸二 編

まずお勧めしたいのはこの山渓カラー図鑑「日本の野鳥」。すでに絶版となっているが古本は多数流通しており、Amazon.comでは格安で入手可能。昨今の写真図鑑はどちらかというと識別が中心で生態があまり詳しく書かれていないが、この本では生態が詳しく説明されている。大型本なので探鳥会に持参するには適さないが、バードウォッチャーならばぜひとも手元に置きたい一冊だ。内容はやや古いため新版の発行を望みたい。

(愛知県支部に蔵書あり)

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『COLLINS BIRD GUIDE 2nd Edition』
HarperCollins Publishers Ltd 2010/3/1

海外の図鑑で一番のお勧めがこの「Collins Bird Guide」。イラストが非常に精緻で分かりやすい。ヨーロッパとイギリスの野鳥が中心だが、カモメやシギ、カモの項目は日本でも参考になる。例えばカモの項目ではオス、メス、幼鳥のイラストに加えてそれぞれの飛翔図、さらに典型的な観察例のイラストまで描かれている。英語が読めなくてもイラストを見るだけで十分に楽しめる図鑑である。近々、第3版が出るらしい。(2022/12/13時点)

(愛知県支部に第2版の蔵書あり)

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漫画『とりぱん』
とりのなん子 講談社

4コマ漫画である。愛知県支部の事務所になぜがそろっていたので思わず借りて読んだらこれがすごく面白くてハマった。著者の家のエサ台に来る鳥たちの日常を描いた、ほのぼの漫画。登場するのはスズメ、ヒヨドリ、ツグミ、カルガモといった一般的な種だが、ときどきヒレンジャクとかキレンジャク、コムクドリなど愛知県ではレアな鳥が登場する。

(愛知県支部に全巻蔵書あり )

       

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『鳥のおもしろ私生活』
ピッキオ編 主婦と生活社 2013/7/12

森の野鳥が中心だが、それぞれのおもしろい生態が詳しく書かれている。例えばコルリの雄は繁殖期になると雌の前で頭と尾を立ててUの字に伸ばし、ジグザグに歩く。コルリ雄の喉から腹にかけての純白さはこの求愛ディスプレイのときに意味があるらしいのだ。ページをめくるたびに、こんな、へえ~っと思う記事が満載で実に興味深い本である

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『鳥 優美と神秘、鳥類の多様な形態と習性』
コリン・タッジ シーエムシー出版 2012/10/29

分厚い本である。中身は驚くほど濃い。しかも読みやすい。各章、各段落がかなり独立した内容のため、どのページから読んでも楽しめる。例えば、インドガンはジャンボジェット機なみの高度でヒマラヤ山脈を越える。アメリカオシはキツツキが開けた穴で営巣するのでキツツキがいるところでしか営巣できない。ホロホロチョウの群れは一列に整列して歩いて水場に赴く。などなど。探鳥会の案内人には話のネタ本によい。

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『山渓ハンディ図鑑7 日本の野鳥』
叶内拓哉 山と渓谷社 1998/4/1 

この旧版を購入したのが1998年。以来18年間、野外で使い続けている。野外識別に使う限界ぎりぎりのサイズで上着のポケットになんとか入るサイズ。新版になると鳥の種類や写真の数が増えた分、ページ数が増えて重くなり野外使用が困難になった。amazon.comで旧版の古本が格安で入手できる。野外で使用するならば新版よりもこの旧版が楽だ。

(愛知県支部に蔵書あり)

        

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『もの思う鳥たち―鳥類の知られざる人間性』
セオドア・ゼフォン・バーバー 日本教文社 2008/6/2

本を読んで感動で涙を流したという経験はさほど多くないが、この本はまさにそんな本であった。鳥を擬人化することに著者はためらいを感じつもこう断言する。「鳥は知能や意識や意志を持っているばかりでなく、人間と知的なコミュニケーションをし、人間との間に思いやりのある親友という関係を築く能力を持っている。」鳥を飼っている方や野鳥と慣れ親しんでいる方ならば納得できるであろう。鳥と人間は友人同士になれるのである。

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『カラスの教科書』
松原 始 講談社文庫 2016/3/15

あの話題の本「カラスの教科書」が入手しやすい文庫版になった。従来の野鳥本の常識を覆すような内容で一世を風靡した単行本「カラスの教科書」。そのかわいいカラスのイラストは文庫版でも掲載されている。この機会にカラス好きもカラス嫌いも一読を勧めたい。読後はカラスが気になって仕方なくなること請け合いである。実際、カラスくらいかわいい鳥はいないと思う。あのクリッとしたつぶらな黒い瞳。ポアポアと生えた鼻毛、そしてなによりも光が当たると緑や青に光る美しい黒い羽。古くは神の使いとして崇められていたという話にもうなずける。

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『GULLS OF EUROPE,ASIA AND NORTH AMERICA』
KLAUS MALLING OLSEN CHRISTOPHER HELM社 2004/9/20

英語のカモメ図鑑。よくぞここまで調べ上げたと感嘆せざるを得ないほどの内容。価格も高いがそれに伴った内容である。これからカモメを本格的にやりたいならば役に立つ(多分。。)それにしてもカモメ類はよく似ている。図鑑を眺めて、一体どこが違うんだ、と途方に暮れてしまう。翼端の模様が微妙に種で異なるそうで、その一覧表まで記載されている。皆同じだがや、と名古屋弁で突っ込んでしまった。カモメマニア向け図鑑。

        

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『カラスの自然誌ー 系統から遊び行動まで』
樋口広芳・黒田令子 編著 北海道大学出版会 2010/8/19

「カラスの教科書」でカラスに興味を持ったらこの本を勧めたい。日本のカラス研究の第一人者たちが興味深いことを語りつくしている。論文調で「カラスの教科書」ほど気楽には読めないが、ハシボソカラスとハシブトカラスの力関係、カラス同士の個体識別、住む環境による食性の変化(そういえば藤前干潟にいるハシボソカラスはよくゴカイを食べてるな)、ねぐら移動の不思議、遊び行動などが興味深く記述されている。本書と「カラスの教科書」を通読すればカラス通を自認できるであろう。

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『ザ・ビッグイヤー』
マーク・オブマシック アスペクト社 2004/5/25

ビッグイヤーというイベントは全米で1年間に渡って行われる競技で、その1年間で見ることができた野鳥の数を競うというもの。珍鳥情報があればすぐさま飛行機に飛びのってかけつけたり、わざわざヘリコプターをチャーターしたり、砂漠の真ん中まで出かけたり、アリューシャン列島にまで出かけたり。その鳥見にかける熱意と執念たるや、すさまじいまでに面白い。本書は実話に基づくノンフィクションである。自営業、引退した実業家、ソフトウェアの契約社員という、自由な時間も使えるお金の額も全く異なる3人のバーダーが競い合う姿を生き生きと描いている。読みだしたらとまらなくなり一晩で読み切ってしまった。

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ビッグボーイズ しあわせの鳥を探して

左記「ザ・ビッグイヤー」の映画版DVD。本はちょっとなあ、という人にはオススメの映画である。原作のノンフィクションをかなり短縮してあるが鳥に興味のない人も十分に楽しめる内容だ。映画の一場面で、アッツ島にまで探鳥にいくシーンがある。そこで、カワラヒワやカシラダカといった日本では普通種を皆が自転車で追いかけまわすシーンには笑った。元チャンピオンで自分の記録を破られることを恐れて参戦した自営業の男、大企業の社長を引退した元実業家、そして金のない契約社員の3人が3者3様の鳥見人生を繰り広げる。そして優勝したのは誰か。そしてそれと引き換えに失ったものは。。         

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『野鳥と自然の解説 実戦ハンドブック』
(財)日本野鳥の会レンジャー (財)日本野鳥の会 2004/11/1

探鳥会の案内人のために書かれた本。案内人としての心構えから説明の仕方、鳥見から環境学習へと話を進めていく方法など、いたれりつくせりの内容。鳥のいないときの案内方法、1年を通じた野鳥解説の方法、鳥合わせの方法、など参考になる話が満載である。類書がほとんどないだけに貴重な本だ。

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『Field Guide to the Birds of North America 6th Edition』
National Geographic社 2011/11/1

北米大陸の野鳥を網羅した図鑑。わかりやすいイラスト満載。2022/12/13現在では第7版が出ている。アメリカに探鳥旅行に出かけるなら持っていきたい。イラストをただ眺めながら、脳内探鳥旅行をしても楽しめる。それにしても北米大陸の野鳥はバラエティに富んでいる。何しろ北から南まで広大な国ですからね。こんな広い国でこの図鑑片手に1年間ビッグイヤーに専念できたら面白いだろうなあ。お金と時間が有り余っていたらの話だが。。ちなみにビッグイヤーの最高記録はなんと771種。ジョン・ウェイゲルによって2016年に達成されている。日本でビッグイヤーを開催したら最高記録は一体何羽になるのだろう。おそらく優勝ラインは450種あたりか。

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『日本の野鳥650』
真木広造、大西敏一、五百澤日丸 平凡社 2014/2/10

書名のとおり、日本で見られる(あるいはかつて現れた)野鳥のすべてを掲載した写真図鑑。日本でほんの数回見られただけの迷鳥も含んでいる。これらすべての写真を著者の一人である真木さんがひとりで撮影したとは恐れ入る。790ページの大著だ。野外で使うには分厚すぎるし重い。この本の使い方としては、ひょっとして珍鳥か、という鳥を撮影できたら家に帰ってこの図鑑をひもといて、じっくりと写真を見比べる、という使い方だろう。そんなときにバードウォッチャーは至福のひとときを味わうのだ。鳥仲間との食事の際に話のネタ本として持参するのもよい。       

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『カワウのほん』
加藤ななえ NPO法人バードリサーチ 電子書籍

エメラルドのような目や求愛の「おいでおいでダンス」はたまらなく可愛いにもかかわらず、カワウは人気がない。ていうかむしろ嫌われ者だ。カワウが話題になるときは決まって「個体数管理」のときだ。そんなカワウがフビンでならない。あの集団漁で見せるダイナミックな躍動感。群れが空気を切って一気に上空から下降してくるときのあの峻烈さ。カワウはチャーミングかつダイナミックな鳥なのだ。さて、この本は読んで字のごとく、そんなカワウの本である。人とカワウのかかわりの歴史、生態、さらには人との共生まで分かりやすく解説されている。しかも電子書籍をNPO法人バードリサーチのウェブサイトから無料でダウンロードできる。

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『Birds of East Asia: China, Taiwan, Korea, Japan, and Russia』
Mark Brazil
PRINCETON UNIVERSITY PRESS 2009/1/26

日本、韓国、中国東部、ロシア東部で見られる野鳥の図鑑。この図鑑に載っている野鳥であれば日本でもいずれは見られる可能性があるかもしれないなあ、などと空想しながら眺めると面白い。これがアフリカとかコスタリカの野鳥図鑑だとそうはいかない。ところでこの図鑑にはBlack Turnstone(クロキョウジョシギ)が一度だけ北海道で記録がある、と書かれている。こんな以外な情報を探してみるのも面白いだろう。

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『日本のカモ識別図鑑』
氏原巨雄・氏原道昭 誠文堂新光社 2015/11/2

発売後、かなり話題になったカモ識別図鑑の決定版。例えばカルガモの項目では、雄成鳥、雌生殖羽、雄非生殖羽、雄幼羽、雌幼羽、幼羽⇒第1回生殖羽、雛の羽化後2日、15日、25日、38日、とまあ、凄まじいまでに詳しい。探鳥会でこの図鑑を使ったことがあるが、普段ならば「あれはキンクロハジロだ。」で終わるところが、「え~と、あれは雄の幼鳥かな、いや雌の冬羽かな、いややっぱり雌の幼鳥かな~」となってしまい、気付いたら置いてけぼりを食った。一人のときに読むほうがいいかもしれない。         

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