戦前の探鳥会

 戦前の鳥見は、双眼鏡も珍しく、ほとんどの人は肉眼で見て、囀りを聞き、時には舌で味わうという鳥三昧。鳥屋場が探鳥会の場となることもあった。今では考えられない話である。現在も尚残っているカスミ網問題に苦労することになるとは当時は思ってもいなかったであろう。こんなのんびりした良き時代もあったのだなと羨ましくさえある。もちろん食べることが目的ではない。熱心な野鳥の観察には余念がなく、生態や環境についての研究成果が『野鳥』誌に投稿されている。また他の支部との合同宿泊探鳥会も開催されていた。
昭和13年11月6日 八事妙見鳥屋場 見学会(中京支部第一回探鳥会)
昭和15年6月8-9日 比叡山探鳥会(京都支部と合同開催)
昭和16年5月24-25日 鳳来寺山探鳥会(名古屋新聞社の植物の会と合同開催)
昭和17年1月9日 岐阜県下池ガン探鳥会
昭和17年3月22日 知多半島ウの池(ウの山)探鳥会
昭和17年5月29-30日 富士山南麓探鳥会 51種観察
昭和17年6月13-14日 御在所岳探鳥会
昭和18年1月16-17日 岐阜県下池ガン探鳥会(大阪支部と合同開催 行基寺に一泊)

第一回探鳥会でみられた鳥 (『野鳥』昭和14年1月号より転記)
鴉科: ハシブトガラス、ハシボソガラス、カケス
椋鳥科: ムクドリ
雀科: スズメ、ニフナイスズメ、イカル、シメ、オホカハラヒワ、コカハラヒワ、マヒワ、ウソ、ベニマシコ、オホマシコ、イスカ、ホオジロ、アヲジ、クロジ、カシラダカ、アトリ、ノジコ
鶺鴒科: セグロセキレイ、キセキレイ
繍眼兒科: メジロ
四十雀科: シジフカラ、コガラ、ヒガラ、エナガ
鵙科: モズ
鵯科: ヒヨドリ
鶲科: キビタキ
鶯科: ムシクヒ、メボソ、ウグヒス
鶇科: ツグミ、トラツグミ、アカハラ、シロハラ、ハチジャウツグミ、ノビタキ、ジャウビタキ、ノゴマ
怪鴟科: ヨタカ
梟鴟科: オホコノハヅク、コノハヅク
鷲鷹科: ハイタカ
鷺科: ゴヰサギ
鳩鴿科: キジバト、アヲバト
鷸科: ヤマシギ
雉科: ウヅラ

文責 間渕陽子
参考資料
『野鳥』昭和13年7月号 昭和13年11月号 昭和14年1月号 昭和14年3月号 昭和14年6月号 (日本野鳥の会 発行)
『中京支部報告』 昭和16年 第一回
『名古屋支部報』昭和53年27
『愛知県支部報』平成2年48 49

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